誰よりも優しい総長様


でも、まだだ。


倉庫の周りにある気配だけは動きを示さなかった。


「始まったね…」


「行かなくていいの?副総長さん」


意地悪じみたように聖奏を見た。


「俺はいいんだよ。柚那を騎士達以外に攫われないようにする見張りだから。」


するといくつかの気配がこちらへと近づいてきた。


バタン


バタン


開かれていく1個1個の扉


廊下には多くの女の悲鳴が響いていた。


バタン


そしてここも開けられ何人かの男が姿を見せた。


「やっぱり目玉はここか。ちゃーんと騎士も居やがる。」


そんなことを言いながら男たちはあたしを舐め回すような目で見ていた。


「あいにく、ここのお姫様を渡す相手は決まってるから引くなら今のうちだよ?」


そんなことを言いながら聖奏は手元に持ってきた紙袋をあたしにほうりなげた。


中を見ればそこにあったのはあたしが戦争の時に着ている服などが入っていた。


「聖奏…」


「そんなんじゃ自分の身も守れないだろ?それは弘毅からの餞別だよ。」


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