誰よりも優しい総長様


しばらくすれば第2戦が開始される。


今度はあたしも加わり倒していた。


自分の族じゃない。


本当なら戦う必要なんて無いのにあたしは拳を握る。


そしてまた直ぐに戦いは終わった。


ドタドタドタ


今度は…


そう身構えたとき見えたのは敵の姿では無かった。


「ゆず!」


「柚那!」


「柚那ちゃん!」


そう言ってあたしの名前を呼びながらこっちへ来る仲間の姿。


「騎士たちの登場だね。」


聖奏はそう隣で呟いた。


みんなは走ってくるとあたしに抱きついた。


ウッ


ちょっと苦しかったけど、これはこれで嬉しかったりもする。


そんな中お兄ちゃんだけは聖奏と話していた。


「柚那ちゃん、大丈夫?ごめんね。あたしのせいで。」


「大丈夫だよ。卯月。」


そう言って涙目の卯月の頭を撫でた。


「柚那さんが無事でなによりです。」


「柚那!心配したよー」


「柚那さん、無事でよかった。」


「ほんと、人騒がせだな。」


伊月、加代、彰くん、蓮


加代以外は少し離れて微笑んでくれていた。


そして最後に包まれるのは愛しい人。


「柚那、ごめん。」


「慶…」


「遅くなった。」


「ほんとだよ?」


あたしは思わず堪えていた涙が溢れだした。


「おいおい、ゆず、泣いてんじゃねーよ。みっともねーだろ?」


「柚那…」


お兄ちゃんと聖奏からは呆れた目線が返された。


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