誰よりも優しい総長様


病院に着いてからは柚那ちゃんと慶君が手術室へと運ばれ、玲、加代ちゃん、蓮君の3人は診察室で手当を受けることになった。


そんな中あたしは弘毅くんと共に手術室の前にいた。


しばらくすれば慶君の両親と柚那ちゃんのパパとママ、そして秀くんがやって来た。


「弘毅!卯月ちゃん!」


「おふくろ、親父…」


「柚那は?柚那は?大丈夫なの?」


取り乱すように慌てている柚那ちゃんのママ。


無理もないよね。


娘が拉致されたと思えば次は拳銃で撃たれたって言うんだもの。


あたしはとりあえず柚那ちゃんのパパとママの後ろにいた慶君の両親に頭を下げた。


「あたし、慶君のクラスメイトの美空です。」


「君が卯月ちゃんだね?」


そう言って微笑むように返してくれたのは慶君のパパさんだった。


「俺は神崎 柚那の兄、弘毅です。」


「君が噂のお兄さんか。はじめまして。」


「この度は俺がついていながらこのような事になってしまい、すみませんでした。」


そう言って頭を下げる弘毅君に習うようにあたしも頭を下げた。


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