逢いたい~桜に還る想い~
………朝のラッシュって嫌い。
だから早いので行ってるのに……。
ジャガイモ洗うみたいに、ぎゅうぎゅう押される。
おまけに、グイッ!と髪の毛を引っ張られた。
「────いたっ!」
もー!と思って、顔を上げると………
「………あ、ごめん」
上から、郁生くんの声。
ぎゅうぎゅうの車内。
どうやら、郁生くんのブレザーのボタンに、あたしの髪の毛が引っ掛かってしまったらしい。
「あ……あたしこそ、ごめん!」
混み合った車内で、あたしはこそこそ声になって謝る。
「あっ……と、トーコさん、動かないで」
下手に動こうとして、
隣に立っているサラリーマンにジロリと睨まれる。