逢いたい~桜に還る想い~
「………ねぇ?」
「なぁに?」
「久し振りだから、少しドライブしたいな。
トコ、ついでに乗り換えの駅まで連れてってよ」
「……うん、いいよー」
瑤子ちゃんの提案に、あたしはウインカーをたいて、進路を変更する。
「───……あたし、さ。
お母さんには話してないんだけどね」
「ん?」
「一人暮らし、してみたいなー、て考えてるんだー。
……でも、瑤子ちゃんみたいに自立出来てる訳じゃないし、大学も通える距離だし、
なかなか実現しそうにないかなー……なんて」
「…………」
「バイト、頑張ってるんだけど、お金ってなかなか貯まらないね!
───ホント、瑤子ちゃん、すごいなー……て思ってさ」
「…………」
前の車のテールランプを瞳に映し、黙って聞いていた瑤子ちゃんが……、
───赤信号でブレーキを踏んだあたしを、覗き込むように、言った。