逢いたい~桜に還る想い~

「………郁生くん……サイテーだよ……」


悲しすぎて……涙が出ない。


代わりに、渇いた笑いが込み上げてくる。


「“彼女”いるのに……こーいうの、よくないんじゃない?」


「────………」


答えない郁生くんに構わず、あたしは続けた。


「“叔母さん”からかっちゃダメでしょ、“甥っ子”くん………。

あんま意地悪だと、ココねーちゃんに……おかーさんに、言い付けちゃうよ?」


自分をサイテーだと思いながら───そんな皮肉な言葉が口をついて出て。


………それと同時に、自分への戒めであったのかもしれない。





「………ねぇ?」



間を置いて───……ふと、郁生くんが静かな声で言った。


「トーコさん……さ」


「……なに?」



「───……“キスしたい”…て言ったら……怒る?」



「!! ────はっ!??」



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