逢いたい~桜に還る想い~
よいしょ、と郁生くんが体勢を直し、反動であたしの身体が大きく揺れる。
お、重いよね??
「……あ、……あの……」
恥ずかしくて情けなくて、蚊の鳴くような声でおずおずと話し掛けると、
「……あ……起きた……?」
郁生くんの声に───トクン、と鼓動がひとつ鳴った。
久し振りで緊張するのに、この状況……。
「あの……これ、……郁生くん、なんで……? ……てか、重いよね…あの……降りる…から……」
おどおどしながら、降りようとモゾモゾ動くあたしに、
小さくため息をついた郁生くんは、
「───酔っ払いは、黙っておぶわれてて」
手を離してはくれなかった。