逢いたい~桜に還る想い~
「あ……あの、お母さんのケータイに掛けたんだけど、出なくて……それで、家電に……」
別にこんな言い訳めいたこと言わなくてもいいのに、
苦しさを感じて、口から勝手に出てくる。
『……今、2階に洗濯物、片付けに行ってるから、かな?』
「あ、そ、そうなの?」
『うん……』
「…………」
『…………』
一瞬の沈黙の後、郁生くんが言い澱んで、
『……トーコさん……あのさ……』
そう、何かを言い掛けた瞬間、
『なーに? 柊子なのー?』
バタバタっと何かやり取りする声がして、
『もしもし? 柊子っ? ───聞いてよーっ! 』