逢いたい~桜に還る想い~

電話をもぎ取るように替わったであろう母親の、あまりに高いテンションに、

先程までの重苦しい空気も一気に吹き飛んで、


「な……なに?」


と、聞き返すと、母親は興奮気味に、こう答えた。


『あのねぇ、おめでたなんだって!』



主語も、状況説明もまるで抜けた、その単語に、ポカンとして、


「おめでた……」


オウム返しのあたし。


『だからっ、赤ちゃん出来たんだって!』


「いや、“おめでた”って言葉の意味、説明しなくてもいいけど……赤ちゃんって……誰の??」


『だからっ、もう! 香子よ!!』


「………え?」


ココねーちゃん……に?



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