逢いたい~桜に還る想い~

びっくりし過ぎて、言葉を失ったあたしに、母親が矢継ぎ早に続けた。


『もう、つわりっぽいのが始まってるんだって。

16年ぶりだしねぇ。郁生の時も結構つわりあったのよね。

もう、孫はあんたか瑤子が結婚してからと思ってたから、びっくりよ!

香子もまだ35だし、おかしなことじゃあないんだけどさ。

だいたい3月くらいじゃないかと思うんだけど、予定日。まだ早すぎてはっきりはしないみたい。

それでね、やっぱり産むのは日本の方がいいから、体調が落ち着いたら、臨月より前にはこっちに帰ってきたいって言うのよ』


「帰ってくるって……安西さんは…?」


『そりゃ、一緒に帰ってくる訳にいかないから、単身赴任で頑張ってもらうしかないんじゃない?

赤ちゃんが産まれてから、その先のことはまた考えるって。

ほんと、のんびりしてるっていうか、なんていうか……。香子らしいけど、まったくねぇ!

うちはまた賑やかになっちゃうわ。私、赤ちゃんも香子も同居じゃ、大忙しよ!』



< 332 / 517 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop