逢いたい~桜に還る想い~
「───……トーコさんを心配して、側にいてくれる人は、ちゃんといる…でしょ……?」
「心配って……瑤子ちゃん……?」
「───そうじゃなくて……」
歯切れの悪い感じを不思議に思い、 床にへたり込んだまま郁生くんの言葉を待っていると。
間を置いて、郁生くんが小さな声でぽつり、呟くように言った。
「駅で……見かけたから……今日」
「え……」
ふいにあたしの視線と、郁生くんの視線が、宙で絡む。
一瞬───郁生くんの瞳が寂しげに細まったように見えたのは、気のせい……?
あたしの唇が動くより先に、耳に届く彼の静かな声。
「一緒にいたの……ゆーじんさん、でしょ?」
「────!!」
あれ……見られてた……の?
「あの……あれ……」
恥ずかしさに、思わず顔が熱くなって。
気がついたら、両手で頬を挟んで俯いていた。