逢いたい~桜に還る想い~

「トーコさん、真っ赤……」


クスクス……笑い声に、


「────……」


信じがたい思いで、俯いていた視線をゆっくりと上げた。


……郁生くんが、笑ってる。

他の男性(ヒト)のことをつっこまれて、顔を赤くしてるあたしを見て。


目の前の光景に───悲しさよりももっと深く……ショックを覚える。


なんで、………笑える…の?


あの夜から───想いを伝えあった夜から、まだふた月しか経ってない。


……なのに、もう平気なの?


そりゃ、いつまでも抱えてちゃいけない想いだって、そんなの解ってる。


でも……いまだに夢や影に、このどうしようもない想いに囚われてるのは、あたしだけ……なの?


「………」


いったん治まっていた吐き気がまた催してくる。


「……トーコさん?」


………だめ、気持ち悪い。



部屋を出ていこうとしたあたしの肩を、


「どうかしたの……?」


郁生くんが掴んだ、その瞬間────




「…………!!」


全身が粟立つような、震えが駆け巡り……



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