逢いたい~桜に還る想い~
第六章
嘘
★ ★
10月下旬。
街はハロウィンで可愛く飾られて、その後に控えるクリスマスと合わせて、なんとなくウキウキしたムードに包まれている。
───あたしの通う大学も、11月1日から3日間開催される大学祭に向けて、活気づいていた。
「あ───真鍋、これ下に持っていって」
「下? 共有スペース?」
「そ。麻衣ちゃん達が看板作りしてるから」
「はーい、了解」
サークル棟3階の部室で準備をしていると、部長の“グーフィー”こと森くんに刷毛やら絵の具セットを手渡された。
サークル棟中央の中階段を降りて、2階の共有スペースに行くと、
「うわぁ……麻衣ちゃん、絵上手!」
ちょうど看板の下絵を描き終わったところで、
あたしは素晴らしい出来映えに感嘆の声をもらした。