逢いたい~桜に還る想い~
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1時間半くらい車を走らせ、ようやく着いた“匠のふる里・にじいろの郷”。
古民家が並ぶ町並みに、思わず、
「うわぁっ………、素敵………!」
タイムスリップしたみたい! 楽しい!!
……感嘆のため息とともに、無意識に郁生くんのコートの袖を掴んでいたようで、
「………なつかしい」
「え?」
「前にもあったね」
「んーと……あ」
………海に行った時……かな?
海を見て、感動し過ぎて郁生くんの腕を引っ張ってた……
つい半年ほど前のことなのに、確かになつかしさを感じる。
あの時は夏で半袖だったし、
郁生くんへの想いを自覚して、辛くなったりしてたのに。
今は、こうやって隣にいて──
──『ほんとに………?』
──『………幸せって言えるの………?』
「────………」
「あん時も思ったけど」
「………え?」
「トーコさん、可愛い」
「!!」