逢いたい~桜に還る想い~
揺らめく想い
★ ★
「柊子ー、しっかり働いてよー」
大学構内の一般教養棟の中庭で、
───あたしは、ふと現実に引き戻された。
同じサークルに所属する同学年のニシちゃん、こと中西真奈が、
あたしにビラ用紙の束を「はい!」と渡してきた。
ここは、あたしが通う大学。
今日は『サークルデイ』。
4月1日は入学式、8日からは前期授業が始まる。
2~5日は新入生のガイダンスの日程が組まれていて、
4日の今日は通称『サークルデイ』と呼ばれ、
それぞれの部活やサークルが、説明や勧誘を行う日になっている。
「なんだかボーッとして……まぁ、病み上がりなんだし、具合が悪かったら、遠慮しないで早めに言いなよねー」
チャキチャキのニシちゃんは、新入生に笑顔でビラを配りながら、
うちのサークルが勧誘している部屋へと案内している。
「ごめん……ちゃんと頑張ります……」
彼女の頼もしさに肩をすくめ、
あたしも声を上げて、ビラを配り始めた。