涙夢
第一章



朝起きてカーテンを開けると

桜が散っていた。


「もう、そんな時期かあ。」

取れかけていた心の重りがまた重くなった気がした。

そんなことを考えながら

まだ数えれるほどしか腕を通していない

赤沢高校の制服に腕を通す。


「絢音!いつまで寝てんの!」

「はいはーい、今行くよ。」


お母さんからの声をてきとうに返して

ぼーっとしながら階段をおりてリビングに向かう。


リビングにはいってすぐに目に入ったのが

「4月・・・19日。」

カレンダー。

私が世界で一番嫌いな日。

わたしの心の重りがどんどん重くなっていく。


ピンポーン

「今行く―!」

私は朝食のパンを口にくわえて

玄関に出た。



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