朝のバス
あれからしばらく経った。先輩のことはよく見かける。相変わらず友だちから先輩情報を少し聞いていた。

先輩は本当に聞けば聞くほど良い人だった。あんな良い人が私と付き合うことなんて、ないのかな、と思うようになった。少しして、自分が本当に先輩に惹かれていってるって気が付いた。

惹かれても遠い。分かってるけど、好きになってからは、好きって気持ちを止められなかった。
改めて友だちに先輩が好きと言うと、
「やっと認めたか」と笑われるだけだった。

意識した時と同じ様に、先輩を好きだとわかってからは、前より先輩をよく見るようになった。心なしか、だんだん目も合うようになった気がする。流石にそれは思い込みだと思ったけど、やっぱり嬉しかった。でも、本当は私のことなんて、先輩は知らないだろうし、勇気もなくて、告白どころか、声を掛けることもできなかった。
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