朝のバス
先輩とは、朝が一緒だから当たり前と言えば当たり前だけど、帰りもたまに一緒になった。
歩いて行く方向が一緒だから先輩の前か後ろを私が歩くようになった。先輩が前を歩いている時は、ぼんやり、先輩の隣を歩けたらなと思ったり、突然、先輩が後ろを振り返って慌てたりした。たいてい先輩は後ろから来た自転車や車、鳥の音を聞いて振り返るだけだけど、やっぱりどきりとした。
ある時、私は嬉しことに先輩と帰る時間が一緒になった。
でも後ろを先輩が歩いているから、先輩の様子は全く見えなくて、ちょっと残念、なんて思いながらてくてく歩いていた。
そしたら、突然後ろから近寄ってきた誰かに肩を軽く叩かれた。
いつも以上にびっくりして後ろを見ると、そこにはおじいさんがいた。