朝のバス
まさか先輩が、なんて思って振り向いたけど、そんなわけはなく、私の鞄についていたキーホルダーが落ちていて、それを拾ってくれた親切なおじいさんだった。


おじいさんにお礼を言ったあと、さりげなく後ろを見ると、先輩は何と無く、いつもよりゆっくり歩いていた。

いつものペースならもともとそんなに離れていなかったから、通り過ぎるくらいかと思ったのに。今日はなんだか変な日だな、と思った。


おじいさんからもらったキーホルダーをポケットに入れて、私はまた前を見て歩き出した。
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