朝のバス
それから少し歩いたところで、私は先輩に呼び止められた。
まさかまたキーホルダーを落としたのかとポケットを確認したけど、ある。

先輩はまっすぐ私の方を見て言った。

「こんにちは。僕は高校2年B組の山本憲って言います。制服で分かるかもしれませんが、あなたと同じ学校です。」

ここまで一息に言った後、先輩は顔を真っ赤にしながら力強く言った。

「僕は、あなたのことが好きです。深川さんは僕のことを知らないかもしれませんが、僕は、好きです。ふざけていません。深川さんが良ければ、僕はこれからあなたと仲良くなりたいです。どうですか?」

あんまりにも顔を真っ赤にして、まっすぐにこっちを見るから、私も自分の顔が赤くなっていくのがよく分かった。
嬉しいのと恥ずかしいのとで言葉が出ず、口をパクパクしていたら先輩が慌てて言った。

「あ、無理に、今すぐということじゃなくて、返事はよく考えて後でっていう形でも良くて…あ、じゃあ期限を俺が決めた方がいいですか?」

私は決められないのと、混乱で、まだ言葉が出ないでいた。
< 18 / 21 >

この作品をシェア

pagetop