脱・不幸恋愛体質

「お前…一応これでも心配してんだぞ」


「知ってる」


頬杖をつきながら真横に座る蓮を見ていた。

いつもと形勢逆転。

夕日のせいか赤い顔をしながら、私を睨みつけると


「心配して損した」


そう言って立ち上がろとした。

そんな蓮の手を掴んでいた私。


「……なんだよ?」


何でか自分でも分からない。

なんて、蓮が以前私に話したみたいな事を思っていた。

だって、本当に自分でも分からないんだもん。


「心配してくれて、ありがとう」


「……」


「もう少し…一緒に居て」


夕日がゆっくりと沈んでいく。

波の音がBGMになり、私達の周りだけまるで時が止まってしまったかの様な感覚だった。


2人の視線が絡み合う。

一瞬、戸惑った顔をした蓮は


「バーカ。帰るぞ」


そう言いながら私の手を引っ張り、グイッと一気に立ち上がらせた。

うん…と小さく頷いた私は、蓮の手を握ったまま少し後ろを歩いている。


長い2人の影は、夕日が沈んでいくのと共に消えていった。

< 102 / 124 >

この作品をシェア

pagetop