脱・不幸恋愛体質
「お前…一応これでも心配してんだぞ」
「知ってる」
頬杖をつきながら真横に座る蓮を見ていた。
いつもと形勢逆転。
夕日のせいか赤い顔をしながら、私を睨みつけると
「心配して損した」
そう言って立ち上がろとした。
そんな蓮の手を掴んでいた私。
「……なんだよ?」
何でか自分でも分からない。
なんて、蓮が以前私に話したみたいな事を思っていた。
だって、本当に自分でも分からないんだもん。
「心配してくれて、ありがとう」
「……」
「もう少し…一緒に居て」
夕日がゆっくりと沈んでいく。
波の音がBGMになり、私達の周りだけまるで時が止まってしまったかの様な感覚だった。
2人の視線が絡み合う。
一瞬、戸惑った顔をした蓮は
「バーカ。帰るぞ」
そう言いながら私の手を引っ張り、グイッと一気に立ち上がらせた。
うん…と小さく頷いた私は、蓮の手を握ったまま少し後ろを歩いている。
長い2人の影は、夕日が沈んでいくのと共に消えていった。