脱・不幸恋愛体質
―――あれっ?


冷たい……氷?!


あれっ、タタミ?


どういうこと?

私、どうしちゃったの?



目を開くと、心配そうに見つめる彩乃と翔君が居た。

私が目を開いたのを確認すると、2人して安堵のため息を漏らした。


ゆっくりと上半身を起こしてみる。

額に乗っかったタオルが、ペタンと床に落ちた。


「良かった~~愛莉、死んじゃうのかと思ったよ!!!」


彩乃はそう言うと、今にも泣きそうな顔で私に抱きついてきた。


あっ、そうか。
私ったら、あのまま意識が無くなってしまったんだ。


……情けないな。


こんなんじゃ、また蓮にバカにされちゃうよ。


それにしても、彩乃ったら大袈裟なんだから。


「大丈夫よ。ちょっとクラクラしちゃっただけだから」


すると、横から

「愛莉ちゃん、とりあえずポカリ飲んで」

と、翔君がコップを渡してくれた。

「あっ、うん。ありがとう」

私が素直に飲み干すのを見届けると、蓮を呼ぶ翔君。

気づかなかったけど、蓮ったらふてくされて椅子に座ってるの。

「こっち来いよ」

「いって――な!!何すんだよ、翔」

翔君は、そんな蓮の耳をギュッと引っ張って来ると、私の前に座らせた。

なんだかどっかの漫画でみた光景で、プッと吹き出しそうになる。

私の目の前には、ふてくされながら私を睨みつける蓮が居た。

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