脱・不幸恋愛体質
「まったく、ダラダラやってるんじゃね―よ。何時間かけてるんだよ」
私が一時の幸せを噛みしめている後ろから、かなりトゲの有る言葉が飛び込んできた。
やっぱり、蓮か……
蓮のイヤミには少しだけ免疫はついたものの、完全に現実に引き戻されましたが。
「愛莉ちゃん1人で頑張ったんだから、そんな事言わなくても良いだろ?」
とっさの翔君のフォローに、再び胸キュンしちゃう私。
「はいはい、相変わらず翔は女には弱いんだからな」
そう翔君に悪態をつくと、
「おい、お前どうせヒマだろ?あっちでイカ焼いてろ」
なんて私に当たる始末。
本当に性格悪すぎだから!!!
まぁ、バイトじゃ先輩だから何も言えないんだけどね。
呆れ顔の翔君の横を通り過ぎ、仕方なく蓮に言われた『イカ焼き』をする事にした。
って、炎天下でレディーにイカ焼きさせるなんて、どんな神経よ?!
なんて愚痴をお客さんに言える訳もなく、地道にイカ焼き。
ひたすら、イカ。
しかも、どこもかしこも暑い。
やっぱり、辞めようかな……
そう思って顔を上げた私の視界に入ってきたのは―――