脱・不幸恋愛体質
「幸二ぃ~~」

そんな甘い声で叫びながら走って来たのは、幸二が私と二股をかけていた女。


もちろん、こっちが本命。


同級生、清花《さやか》

清い花と書いてさやか。

『どこが清いんだコノ野郎!!!』と、別れた時は良く彩乃に愚痴っていた。

後々知ったんだけど、コノ女相当な小悪魔であり尻軽。

清花と書いて『ビッチ』と呼んだ方が良いんじゃない?

と、周りは慰めてくれていた。

そう、その女が目の前に居るのだ。


まだ付き合ってたんだ……


清花はぴったりと幸二の横に来ると、私に気が付いた。


「あれっ?もしかして、愛莉ちゃん?」


清花は勝ち誇った顔をすると、自分の腕を幸二に絡ませてぴったりと寄り添っている。

もう、未練なんて全く無いけどさ……
さすがに良い気分しないんですけど。


「久しぶり」


多分、笑顔……のハズ。

未練なんて無い筈なのに、かき乱されていく心。


ダメ、2人はお客さん。


下を向きながらグッと下唇を噛むと、また笑顔で顔を上げた。


「夏にこんな所でバイトなんて、さては彼氏居ないなぁ~~?」



大打撃。


図星です。


そう言われ、自分の姿を思い出した。


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