脱・不幸恋愛体質
すぐ裏手の階段を駆け上がると、いつもの自転車置き場に向かった。

結局、蓮にお礼を言う事が出来なかったな。

でも、それは私が悪いんじゃないからね。
んん、思い出したら腹が立ってきたぞ!!

足元に有る石ころを蹴りながら


「蓮のバカッ」


と呟いてみた。


「それが、待ってた人間に対して言う言葉か?」



えっ?!



慌てて石ころが転がった方を見た。

そこには、いつもの様にブスッとした顔で自分の自転車に座りながら、私を待って居る蓮の姿だった。


どうして?!


あんな喧嘩をした後だし、今日は居ないかと思っていたから、ビックリしてつい立ち止まってしまう。


「なんで……居るの?」


「別に。お前こそ、何でビックリしてんの?」


自転車から降りると、素早く鍵を外してからサドルに跨った。


茫然と立ち尽くしている私に


「突っ立ってないで帰るぞ」


そう言うと、容赦なく出発してしまう。

私も自分の自転車に鍵を差し込むと、急いで蓮の後を追った。

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