脱・不幸恋愛体質
「あの…蓮君…私、何したらいいかな?」
恐る恐る聞いてみる私に
「さあな。テーブルでも拭いておけば?」
って、布巾を投げられる始末。
今日入ったばっかりなんだから、少し位教えてくれたって良いじゃないのよ。
イライラしながら布巾を取ると、丁寧にテーブルを拭き始めた。
やっぱり、向こうでは楽しそうな笑い声が聞こえてきて、完全に萎えるわ。
「はぁ―――」
小さくため息をついていると
「何?もう、辞めたくなった?」
って、蓮君ったらいつの間か傍に居るし。
「れっ、蓮君!!そんな事は……」
「ハッキリ言っておく。
この仕事は、楽しくもなんともないぞ。
男探しが目当てだったら、早めに辞めた方が身の為だぞ」
ううっ……図星過ぎて言い返せない。
「私は、そんなんじゃ……」
「毎年居るんだよな。『こんなハズじゃなかった』って言って辞めていく奴。本当、迷惑なんだよ」
ああ、心が痛すぎます。
何も言い返せない私に、蓮君は追い討ちをかける一言を言った。
「あれっ、図星だった?
まぁ、何でも良いけど『蓮君』って呼ぶの辞めてくれる?キモイから」
「キ、キモイ?!…じゃあ、なんて呼べば良いの?」
「蓮」
そう返事をする時には、もう私に背中を向けて次の準備に取りかかっていた。