脱・不幸恋愛体質
『もしもし…―』
心なしか、テンションがさっきと違う気がしたが気のせいかな?
私達3人は、蓮を無視して花火を続行した。
翔君が付けた花火に、私の花火を寄り添わした。
一瞬にして、倍の火花になり私達の顔を照らす。
そっと触れた手。
翔君は私の手を取り、ギュッと握りしめてくれた。
翔君を見ると、笑顔で私を見てくれていて、そんな私達を花火はほんのり照らしていたんだ。
やがて消えていく翔君の花火。
追いかける様にして、私の花火が消えていく。
その時、
「翔、電話。蘭から」
そんな蓮の呼びかけに、グッと体を緊張させた翔君。
スッと手から離れて行く翔君の意識は、完全に蓮の持つ携帯電話に奪われていた。
蘭?
女の人??
誰?
不安と嫉妬が私の心を揺さぶる。
翔君が裏切るはずが無い。
こういう時に、翔君を信じなきゃね。
私は、近くに有った線香花火を手に取ると、再びチャッカマンで火を付けた。