脱・不幸恋愛体質
「どこに行くんだよ?まさか、蘭に会いに行く訳じゃ無いよな?」
携帯電話と共に、蓮にがっしり掴まれた翔君の左手。
「……」
「あいつは…愛莉はどうするんだよ?」
「……ごめん」
ああ、またやっちゃったかな。
なんとなく分かる様になってしまった終わりの瞬間。
多分、自己防衛本能。
すると
―――バシッ
えっ?
横では彩乃が息をのんでいる。
男同士の殴り合いの喧嘩を、生まれて初めて見た。
どうして良いか分からないし、どうしたら良いか頭が回らなかったけど、とっさに立ち上がって蓮の腕を掴んでいたのだ。
「止めて!!!もう、良いから…」
「離せよ、バカ」
そう言いながら、私を振り払おうとする蓮。
「早く行って、翔君。早く…」
「お前、何を言ってるのか分かっているのか?」
蓮の言う通り、自分が何を口走っているんだか良く分からなかったのだ。
そんな私を見ながら、
「…ごめん、愛莉ちゃん」
そう言い残すと、翔君はそのまま走って行ってしまった。