脱・不幸恋愛体質
人間、本当に恐怖を感じると声が出ないもので、抵抗するものの男の力にかなうはずもなく、ズルズルと引きずられる様にベンチに連れてこられた。
「こんな時間に公園に居るんだから、お姉さんもまんざらじゃないんじゃない?」
そんな事ない……
でも、声が出なくて。
怖い。
助けて、翔君。
誰か助けて。
バンと押され、ベンチに倒れ込む。
上を向くと薄暗い電灯の下に、ニヤニヤ笑いながら私を見つめる狂気に満ちた顔が……
首元に手をやると、思い切りシャツを破かれた。
―――ビリビリッビリッ
その瞬間、やっと声が出た。
「キャァァァァ―――――」
「お姉さん、ここじゃそんなの無意味だよ」
慣れた様に言い放つと、私の下着に手をかけた。
ガタガタと震えながらも、足をばたつかせながら必死に抵抗する。
もう、終わりだ……
誰か……
助けて。
蓮、助けて。
そう願ながら瞳を閉じた。
奴が下着を剥ぎ取ろうとした、まさにその時…――