脱・不幸恋愛体質

急いで土手を登る私に、背後から声をかけてくる人が……


「愛莉ちゃん!!!」



!!!!


無視出来る訳がないので、とりあえず振り返ってみる。

もちろん、予想通り翔君。


「……なに?」


意外にもすんなり出た声。

心臓はバクバクしてるけどね。


「ちょっと良い?」


やっぱりきたか…なんて思いながら、先延ばしにしても仕方ないので、しょうがなく頷いた。


私達は、少し離れた所に有る階段に腰を下ろすと、並んで海の方を見た。

こういう時間を、付き合っている時に過ごしたかったな。

そう思うと、又ズキンと心が痛くなった。


先に話し始めたのは翔君。


「あの…この前はごめん」


謝らないでよ。
自分が惨めになるからさ。


「蘭さんの事、まだ好きなんでしょ?」


そんな事を聞かれると思っていなかったのか、驚いた顔をする翔君。


「ごめん」


全てがその言葉に詰まっている様な気がした。

その瞬間、何だかもう良いかなって、良い意味で諦めがついたんだ。


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