番外編「雨に似ている」1話読み切り
早朝から降りだした雨は、昼を過ぎても、止む気配がない。



薄暗い空に時折、稲光が走る。



「梅雨の始まりには豪雨に伴い雷が落ちる」、近所に住む高齢者から子どもの頃に聞かされた。


朝から天気予報が各地の様子を伝えていた。

今日は1日、雨らしい。




厚い雲に覆われた空。

ショパンの雨だれを思い浮かべる。



母が、鉢植えの紫陽花を窓辺に置きながら

「かわいいでしょう」

と少女のように微笑む。


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