番外編「雨に似ている」1話読み切り
先天性の心臓疾患。


生後間もなくから数回、手術を受けた。


が、どれも根治術の準備の準備みたいなもので、機能事態は年を重ねる毎に衰えているのが現状で……。



それでも高額な医療を受けられるのは、国の医療福祉が結構充実しているからだと思う。


もちろん、改善すべき点も山積みでもあるが……。




夏休みは終始、病院で過ごすことになりそうだ。


幸い、心配された大きな発作は薬の効用か奇跡的にも起きていない。



春から、幾度かピアノコンクールにも挑戦している。

本選までは何とか進出するが、規定が厳しいのか技量が足りないのか、優勝を逃してばかりいる。

悔いはないと思いながら、先のことは考えないわけにはいかない。


春先、長年ヴァイオリンの師匠をしてくれた人が体調を崩し入院していると聞いた。

5歳から高校進学まで10年間余りお世話になった。


彼女からは、様々なことを学んだが「音楽は心で弾くものだ」という言葉が1番心に残っている。



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