番外編「雨に似ている」1話読み切り
レイテ空挺作戦の際、挺進第三聯隊の宿舎となっていた南サンフェルナンドの製糖工場の壁に、次の歌が書き残されていたという。



「花負いて空うち征かん雲染めん
かばね悔なく吾等散るなり」

読人不知の歌である。



屋上から海を見つめる。
そして、空に海に散った尊い命へ届けとヴァイオリンを弾く。



弾きながら拙い歌を詠んだ。


「群青の空に散りにし君想い我は祈らん海に散る花」



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