番外編「雨に似ている」1話読み切り
カウンターから、接客の合間に向かいの店先をチラ見する。


一斉メールで強制指令をかけたダチが騒がしくケーキを買っていく姿が見えた。

「友達っていいよな」

なんて再確認する。



甘いものは苦手だと言いながら、バイト先の方にはよく顔を出すくせに、向かいの店には普段見向きもしない薄情な幼なじみもいる。

が、今日はどうやらケーキを買っている姿を見た。



店先で売り子をしている女子が背中ごしすれ違う。

「なんでこんなに寒いのよ」

甲高い声をあげている。



雪が降ると言っていたからな、寒くなって当たり前だろ。

口に出して言いそうになるのをグッと抑えて、営業スマイルで商品をトレイに乗せて手渡す。


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