番外編「雨に似ている」1話読み切り
粉雪
街の灯りに照らされ歩く人の波が、今日はどの顔も心なしか笑顔に見える。


早朝から甘い香りが店中に広がり、他の匂いを受け付けないほど感覚が麻痺しているように思える。


夕方から一段と冷え込んだ冷たい空気に吐く息も白い。


笑顔で「ありがとうございます」と、もう何回言ったかわからない。


今年は1人きりなんだな~

そう思うと切なくなる。


笑顔の下に寂しさをひた隠しに愛想を振り撒いている。



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