番外編「雨に似ている」1話読み切り
かじかむ手をこすり息で温め、「如何ですか?」と営業スマイルを繰り返す。
向かいの店では赤い服を来た青年が、香ばしい匂いのするチキンの箱を袋に詰めながら、同じように営業スマイルを繰り返している。
店先のディスプレィ、白髭のお爺さんの人形も半月前から赤い服に衣替えをし、物言わぬまま佇んでいる。
寒さのせいなのか、時間帯のせいなのか、先程までの忙しさが幾分和らぎ尚一層、寒さが身に染みる。
「理久くん、交代しましょう」
そう声をかけられ、「すみません」と奥にひっこんだ青年は、暫くして紙コップをトレーに数個のせて店頭に顔を出した。
「どうぞ」と店先で商品の売り子をしている女性たちに紙コップを手渡し、ちらと此方を見る。
彼はそそと歩み寄ると、
「冷え込んできたな、どうぞ」と紙コップを差し出した。
向かいの店では赤い服を来た青年が、香ばしい匂いのするチキンの箱を袋に詰めながら、同じように営業スマイルを繰り返している。
店先のディスプレィ、白髭のお爺さんの人形も半月前から赤い服に衣替えをし、物言わぬまま佇んでいる。
寒さのせいなのか、時間帯のせいなのか、先程までの忙しさが幾分和らぎ尚一層、寒さが身に染みる。
「理久くん、交代しましょう」
そう声をかけられ、「すみません」と奥にひっこんだ青年は、暫くして紙コップをトレーに数個のせて店頭に顔を出した。
「どうぞ」と店先で商品の売り子をしている女性たちに紙コップを手渡し、ちらと此方を見る。
彼はそそと歩み寄ると、
「冷え込んできたな、どうぞ」と紙コップを差し出した。