番外編「雨に似ている」1話読み切り
商品を手に向かいの店に入る。
「終わったんだ」
「うん、雪降ってるから早目に……お陰様で商品も売れたし、ありがとう」
そう言ってご褒美にもらった商品を差し出し、お礼だと告げ、メニューを手に取ると、目の前でピンと立てた人差し指を振る。
首を傾げると、
「もうすぐ上がりだから、座って待っててよ」
と奥の席を指差す。
「寒いからさ。暖かいもの食べて帰りたいだろ、誰かと」
さらりとかっこいいことを言う。
1日の終わり、しかも今日という冬の特別なイベントの日に……こんな温もりを感じられるなんて思っていなかった。
今年は、寂しく1人で食事をするんだと思っていた。
ポケットの中で彼にもらった使い捨てカイロは、まだ微かに暖かい。
「ダメ?」
顔を覗きこんでくる。
「いいね」
そう呟いて微笑んでみせる。
外は雪。
粉雪が音もなく舞っている。
「終わったんだ」
「うん、雪降ってるから早目に……お陰様で商品も売れたし、ありがとう」
そう言ってご褒美にもらった商品を差し出し、お礼だと告げ、メニューを手に取ると、目の前でピンと立てた人差し指を振る。
首を傾げると、
「もうすぐ上がりだから、座って待っててよ」
と奥の席を指差す。
「寒いからさ。暖かいもの食べて帰りたいだろ、誰かと」
さらりとかっこいいことを言う。
1日の終わり、しかも今日という冬の特別なイベントの日に……こんな温もりを感じられるなんて思っていなかった。
今年は、寂しく1人で食事をするんだと思っていた。
ポケットの中で彼にもらった使い捨てカイロは、まだ微かに暖かい。
「ダメ?」
顔を覗きこんでくる。
「いいね」
そう呟いて微笑んでみせる。
外は雪。
粉雪が音もなく舞っている。