みあげればソラ
俺は一旦電話を切ると、美亜と並んで座る沙希に向かって言葉を繰り出した。
「お前が未成年者である以上、保護者の承諾なしにここにお前を置くわけにはいかねぇんだ。
お前が逃げてきた理由は聞かねぇ。
その代わり、ここにいたいなら両親に居場所を教えて捜索願を取り下げてもらえ」
ビクリと更に身体を強張らせる沙希の肩を、美亜がしっかりと抱きしめている。
「逃げても、この世から消えてなくなるわけじゃねぇぞ。
死ぬ勇気もないくせに強がるな」
「でも……」
「でもも、だっても、聞かねぇぞ。
お前に選択権はねぇ。
親が迎えに来るって言うんなら、俺がどうにか頼んでやるから心配すんな」
美亜が優しく沙希の頭を撫でている。
「美亜もいるし」
沙希は渋々頷いた。