みあげればソラ
「まさか雄一の失恋の相手がユキだったとはな」
っていうのは、偽らざる俺の本音。
「失恋って……、振られたのはわたしの方ですよ」
「あいつはそうは思ってないぞ」
振られて落ち込んで、そんな雄一を勉強に向かわせるのに俺がどんだけ苦労したと思ってるんだっ!
「だって、卒業しても連絡もなかったし」
「連絡しようがなかったんじゃねぇの?」
実際雄一は、卒業後も彼女の行方を懸命に捜していたし。
「ま、再会できたんだ、素直に神様に感謝しろ。
この再会をどう生かすかは、お前次第だからな」
「えっ?」
「どうせまた、あたしなんか~、とか思ってんだろ」
「な、なんで……」
「わかるさ。
けどな、生まれた境遇はお前のせいじゃねぇ。
親が無いのも、金が無いのも。
だから自分を卑下するのだけはやめろ。
雄一はこれっぽちもお前を同情したり憐れんだりしてねぇぞ。
あいつはな、いっつもお前の真直ぐな姿勢を褒めていた。
飾り気のないお前の素の姿をわかって好きになったんだ」
俺は最低の男だが、雄一は違う。
「信じてみろよ」
俺は二人の行く末を願ってソラを仰ぎ見た。