みあげればソラ
「ユキ、元気だった?
なんかすっげぇ綺麗になったな」
三年ぶりに再会した雄一は、すっかり垢抜けた今どきの大学生になっていた。
「ユウくんこそ、元気だった?」
再会の喜びも束の間、由貴はやはり雄一との育ちの違いに気後れを感じるばかりだった。
「ユキ、同窓会にも来なかったし。
先生にユキの就職先聞いたけど、個人情報だとか何とか言って教えてくれなかった。
受験でなんとなくうやむやのまんまになっちゃったけど、はっきり別れたわけじゃなかったし。
俺、ずっと気になってたんだ」
「ゴメン」
卒業式後の同窓会は、まだ初月給前で、お金が無くて参加できなかったのだ。
「俺、大学は名古屋だったけど、院はこっちに通うつもり。
だから……」
見た目は変わっても、優しくゆっくりと話す雄一の声はそのままだった。
「ゴメン」
「なんで謝るの?
やっぱり、俺、振られたってことかな?」
いつも俯きがちだった由貴を覗き込む、その真直ぐな眼差しも。
「ゴメン、ユウくん。
ユウくんだってわかってるでしょ?
わたし達、あまりに育った環境が違いすぎる。
ユウくんのことは今でも好きだけど、どう考えても親のいないわたしなんかがユウくんと釣り合うわけないよ。
社会に出て尚更そう思う。
わたしは生きるのに精一杯で、恋愛できる余裕なんてないの。
わたしなんて……」
「ユキ……」