みあげればソラ


「じゃユキ、家に電話するから」


携帯をもっていない由貴を案じて、それでも雄一は由貴と連絡をとることを約束してくれた。

「大学院の試験の手続きもあるし、休みは結構こっち帰ってくる予定なんだ。

ユキも大学受験する予定なんだろ?

また図書館でデートしよう」

雄一は、高校時代と同じ、なんのわだかまりもない様子で由貴を図書館デートに誘った。


「もうお子さまじゃないんだし、図書館ってどうよ?」

「いいんじゃね、いきなり部屋に連れ込まれても困るしな」

「あら、男ならそれくらい強引じゃなきゃ!

マサル、あんた根性無しね!」

「ま、でも、避妊はしろよ、避妊は。

ユキにはこれから大学受験っていう大きな戦が待ってるんだからな」

「あら、それならそれで産んでから大学行けばいいじゃない。

ジョーってば、固いこと言わないの」


「もう、うるさいな、外野は黙ってて!」

「お、威勢がいいな」


弘幸は、その昔、雄一が由貴を部屋に誘って気まずくなったことを知っていたのだ。

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