みあげればソラ
「坂田、頼む、探してくれ! 美亜がさらわれた!!」
由貴から連絡を受け、俺は真っ先に坂田に探索を要請した。
責任を感じて真っ青になった由貴を、取り敢えず家に帰して俺は行動を開始する。
「恐らく吉祥寺駅近辺のラブホテルだ。俺もこれから目立つとこから当たってみる」
ここらは知り合いも多いし。
運がよけりゃ、大事に至る前に見つけられるかもしれねぇ。
「おばちゃん、すっげぇ美人とくたびれたおっさんのペア見なかった?」
俺は遠慮もなく、受付の小さなガラス扉をこじ開け叫んだ。
「知らないねぇ。こっちはいちいち客の顔なんて確かめちゃいないよ」
「じゃ、これからなんか起きたら俺に連絡してよ」
そう言って、俺はピカピカの営業名刺の裏に、携帯の番号を走り書きして手渡した。
「なんだい、もめごとかい?」
「ま、そんなとこ。頼んだよ、おばちゃん!」
「はいよ」