みあげればソラ
駅近辺のラブホを何件か梯子して当たったけれど、収穫は無し。
時間だけが刻々を過ぎて行く。
俺は正直焦っていた。
ここらに居ないということは、駅裏か?
それとも自宅に連れ込まれた?
考えただけで冷や汗が出た。
——クソッ! ミアになにかあったら生かしちゃ置かねぇ
本気でそんな気になった。
そう思うことで、なんとか自分の力なさを宥めようとしていたんだ。
——どうすりゃいいんだぁ〜〜
情けないことに、怒りと不安で身体が震えてきた。
その時、俺のスマホも震えたんだ。
「坂田? 見つかったかっ?」
「ホテルビーナスから、今、通報が入った。場所わかるか?」
「あぁ……」
確かさっき寄った、やる気のねぇ兄ちゃんが受付にいたホテルだ。
「通報って……」
「まだ未確認だが、殺し……」
俺は坂田の発したその一言で全てを察し、美亜の元へと駈け出した。