みあげればソラ


外はどしゃぶりの雨。

スポーツバックには身の回りの僅かな着替えと財布。

こづかい前だし、お金なんていくらも入っていなかった。

美亜は途方に暮れて歩き出した。

傘をさしても、足元から跳ね返る強い雨足に身も心もぐしゃぐしゃに濡れ、冷たくて凍えた。

何処をどう歩いたのか覚えていない。

何時間も歩き続けて、辿り着いた公園のベンチで蹲った。

このまま消えて無くなってしまえばいい。


そう思って目を閉じた。


もう寒ささえ感じなかった。
< 17 / 207 >

この作品をシェア

pagetop