みあげればソラ
美亜を背負って傘をさせるはずも無く。
その男はどしゃぶりの雨にどっぷり濡れて、美亜同様ぐしゃぐしゃだった。
「お前、なんであんなとこに一人で……」
そう聞かれて、恥かしくなった。
答えることが苦しくて、その男の背中を力一杯叩いた。
「わ、わかったって……、理由は聞かねぇ。でも、死ぬな。俺が許さねぇ」
その言葉に安心して、叩く手を止めた。
「お前、名前は?」
「ミ……、ア……」
それだけ呟いて、後は言葉が続かなかった。
そのまま目を閉じて、何も考えられなくなった。