みあげればソラ
月の綺麗な晩だった。
見上げる度に、月が明るく沙希を照らした。
——人間を止めることなんて出来るのだろうか?
——こんなダメなあたしに、生きていく場所なんてあるのだろうか?
——ママの作った晩御飯、最後に食べてくれば良かったなぁ
——嗚呼、太一に会えないのは寂しいなぁ〜
あの月夜の晩、沙希はそんなことを考えながら歩き続けていた。
湯上りの身体がどんどん冷えて、足が棒のようになって、辿り着いたあの公園で、沙希は途方に暮れて蹲った。
行く宛てなど無い。
このまま石になってしまえばいい、と沙希は本気で考えていた。