みあげればソラ
「美亜……」
こんな夜中に非常識だってことくらい俺にだってわかってる。
でも、眠れないんだ。
カチャリ、と開いたドアの隙間を広げて美亜の部屋へと滑り込む。
「わりぃ……、入れて」
背を向けて潜り込んだ美亜のベッドの中で、俺は身体を丸くする。
慣れたもので、美亜はそんな俺の背中を抱きしめて、肩を優しく撫でてくれる。
「美亜……」
いったい俺は何がしたいんだ!
唇を噛み締めながら、俺は更に身体を堅くした。
美亜を正面から抱きしめたい衝動をなんとか押さえ込み、俺はその温もりだけに意識を集中させる。
「美亜……」
好きだ、と言う言葉を飲み込んで、俺は瞼の闇に彼女の顔を浮かべた。
これは……、きっと俺が亜里寿を見殺しにした罰だ。
俺の恋が実ることは……、永遠に、……ない。