みあげればソラ
「では、結果は追ってお知らせします」
さしたる盛り上がりもなく、面接は終了した。
由貴はガタンと勢い良く椅子から立ち上がると、目一杯頭を下げて大きな声で挨拶をした。
「よ、宜しくお願いしますっ!」
もう何度目の面接だっただろうか。
高卒で施設育ちで、何の取り得も特技もない自分が、正社員の職を希望するのは高望みなのかもしれない、と思い始めていた。
「アルバイトは止めとけ」
ヒロ兄こと袴田弘幸は、バッサリと由貴の選択肢を切り捨てた。
早くなんとかして生活費を稼ぎたかった。
無一文でこの袴田家にやっかいになることが、由貴には心苦しかったのだ。
「お前はこれから一人で生きていかなきゃなんねぇんだろ? ここで妥協しちゃぁ、この先明るい未来はねぇよ」
「でも……、それじゃぁ就職決めるのに何時までかかるかわかんないです」
「住む家と食い物は用意してやる。気長に探せや」
弘幸の言葉を大きな支えに頑張ってきたものの、由貴の心は挫けそうだった。