みあげればソラ
「お前なぁ〜、こんな節操無く仕事選んでるんじゃねぇぞ。
いったいお前は何がやりたいんだ?」
由貴の手にした求人票を眺めて弘幸が言った。
「別に、何がやりたいってことは無い、です。
求人条件と合えば申し込んで……」
「化粧のケの字も知らねぇお前が、化粧品の販売員ってのは無理があるだろ?
それにこのテレホンアポインターってやつ、ノルマ制じゃねぇか?」
隣りで美亜が一緒に頷き、求人票に見入っていた。
「で、でも、正社員を念頭に探してたら職種はそんなに選べない……」
「由貴、お前、こんだけ面接受けて落っこちて、何が自分に足りねぇって思った?」
「えっと……、学歴とか、資格とか?」
「まぁ、それは当たり前だな。他には?」
「働く意欲?」
「だな」
正解で〜す、と頭を撫でられて由貴は言葉を失った。