みあげればソラ
由貴は驚いて二人を見た。
どうも冗談ではないらしい。
「やりたい仕事……」
「ホストをやってる俺が言うのも可笑しな話だけどな。
でも、俺には生きる目的がある。
美亜やお前達を養っていくのが俺の目的だ。
その手段がホスト。
俺の美貌とこの楽天的思考が客受けするのは自明の理だし。
案外俺の性にあってて楽しいし。
明確だろ?」
「なりたい自分……」
今まで考えたこともなかった難題だった。
「お金に不自由はしたくない」
「なるほど、尤もだ」
「人の為になる仕事がいい」
「いいんじゃね」
「人を喜ばせる仕事もいいな」
「ま、何事も気の持ちようもあるけどな。
教師、医者、弁護士、看護師、介護士、美容師……
ウエディングプランナーとか、調理師とか……
食いっぱぐれる心配が無いとなると、やっぱ資格があった方が有利か……」
まぁ、今決めなくてもいい、ゆっくり考えろ、と弘幸は言った。